※指針の見直し
医療安全は日々進歩していることから、本指針については必要に応じ検討および見直しを行うこととする。
Ⅴ.患者と家族へのサポート
1.患者や家族は、有害事象のサポートチームにより傷害を受けたことによって生じる気持ちや今後の治療や予後への不安について具体的に聴取されなければならない。
過誤への謝罪を受け、再発防止に向けた取組みへの説明を受けていたとしても、有害事象による心の傷や今後の治療への不安に対して心のケアを必要とする場合もある。
心理的なサポートは、患者と家族との対応を行う医療者チームの評価や検討に沿って、ソーシャルワーカーや臨床心理士、場合により精神科医によって提供されなければならない。
2.合併症が患者の病気に起因していると考えられる場合でも、医師は治療によって被害を受けたと主張する患者に対し注意深く対応すべきであり、合併症は治療行為がきっかけで起こることから、そうした主張は真剣に考慮されなければならない。
患者は医療行為について完全に理解できないこともあるので、患者の心配が根拠のないものであるとしても、十分かつ共感的な説明は何よりの治療法となり得る。
いずれの場合であっても無視されることは患者にとって耐え難い苦痛である。
3.傷害を与えた後の対応として重要なことは、医師がケアの継続を保証し、治療上の良好な関係を築くために配慮することである。
時々、患者も医師も、お互いに距離をおきたいという感情を自然に持つことがあるが、有害事象にあった後の患者や家族は、むしろ、医師による通常以上のサポートを必要としている。
4.患者と家族には、質問や苦情、不安について、いつでも話せる機関の名称、電話番号、連絡先が提供されなければならず、これらの連絡先には病院内外からのサポートやカウンセリング等も含まれる。
経済的な懸念は精神的不安を引き起こすことから、精神的および経済的サポートの調整については、医療ソーシャルワーカー部門等の担当者により適切に対応されなければならない。
このような場合でも、治療チームが患者や家族のサポートについて事前に話し合っておくことが大切である。
5.有害事象発生後、病院の過失が明確な場合及び過失が不明確である場合は「有害事象の分析結果が出るまでの間」の治療費の請求は、患者や家族の心情を考慮し、すべて保留するべきである。
患者にとって、このような重大な時期に請求書を出されるということは屈辱的であり、医療者に対し失望感を抱くこととなるばかりか、有害事象に適切に対応しているといった病院全体の信頼も失わせることにもなる。