「医療有害事象・対応指針」
真実説明に基づく安全文化のために
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※指針の見直し
医療安全は日々進歩していることから、本指針については必要に応じ検討および見直しを行うこととする。

Ⅱ.定義

医療において、過誤や有害事象等の用語が、整理されないまま使用されていたために、しばしば混乱を起こしてきた。

こうした混乱を避けるために、この指針では下記の定義を使用する(下図を参照)

医療事故:
医療行為に起因して人に傷害を起こした出来事(adverse events)の総称:有害事象(重大な過誤を含む)。
有害事象:
患者の既往症というよりも医療行為により引き起こされた傷害
「害」又は「合併症」とも言う
有害事象には、過誤に起因する場合と、起因しない場合がある。
予防可能な有害事象や予防不可能な有害事象の分類は、下記を参照のこと。
「医療行為」とは、医師又は看護師などの行為、または決定を含む医療のすべての様相の こと。
医療過誤:
計画どおりに医療行為を行おうとして失敗すること、又は目的の達成のために間違った計画を採用すること
医療過誤は、重大な過誤、軽微な過誤、およびニアミスを含む
(注:医療過誤には、害を起こさないケースと害を起こすケースがある。害を起こさない医療過誤は、有害事象ではない。)

さらに、以下を定義する:

重大な過誤:
将来に残る傷害、又は一時的であるが命に関わる害を起こす可能性を持っている過誤。
軽微な過誤:
傷害のない過誤、又は傷害の可能性のない過誤。
ニアミス:
傷害を起こしたかもしれないが、未然に防げたために患者に害を及ぼさなかったもの。
予防可能な有害事象:
過誤または、個々の医療従事者やシステムの欠陥に起因している傷害(又は合併症)。

過誤を以下の3つのカテゴリーに区別することが有効である。
タイプ1:担当医による過誤 例)医療行為における技術的な過誤
タイプ2:担当医以外のスタッフによる過誤
タイプ3:個々の過誤のない院内システムの欠陥 例)輸液ポンプの故障により起こる過剰投与 システムの故障による異常な検査結果が医師に伝わって起こる事故

予防不可能な有害事象:

過誤又はシステムの欠陥に起因せず、現状の科学知識でも、いつも予防できるとは限らない傷害(又は合併症)をいい、2つの主要なカテゴリーがある。

タイプa:

良く知られた高リスクな療法に伴う傷害。患者はリスクを理解した上で、治療効果を得るためにその治療を受け入れる。
例:化学療法の合併症

タイプb:通常の医療行為で、まれではあるが知られているリスクによるもの。患者は事前にリスクを知らせられないこともある。
例:薬物の副作用、術創感染

情報開示とコミュニケーション:

「情報開示」とは、医療者から患者や家族へ有害事象に関する情報を提供すること。 この指針においては「コミュニケーション」という用語を使用することで、透明性のある双方向的な関係であることを伝えることとする。

報  告:内部、又は外部の適切な権限者に、有害事象または過誤についての情報を提供(報告)すること。

(報告すべき事故についての詳細は、Ⅻ.報告と公表を参照のこと。)

●本指針における医療事故などの定義(図1)
  医療事故(アクシデント)
  有害事象(アドバース・イベント)
予防可能な有害事象 予防不可能な有害事象

ニアミス(行われなかった)

軽微な過誤・行われたが害がなかった
タイプ1
担当医による過誤
タイプa
よくある、よく知られた高リスクの療法
タイプ2
医療チームの担当医以外の過誤
タイプb
まれにしか起こらないが、知られているリスク
タイプ3
個々の過誤を伴わないシステムの欠陥
ニアミス 軽微な過誤 重大な過誤  

過誤(エラー)(予防可能)