※指針の見直し
医療安全は日々進歩していることから、本指針については必要に応じ検討および見直しを行うこととする。
ステップ3.過誤が明らかな場合には謝罪を行う。
1.過誤があった時、医療者が患者や医療者自身を癒すために出来る最も有効な対応の一つが謝罪を行うことである。
2.有害事象の原因にかかわらず、共感と同情の気持ちを速やかに表すこと(「共感表明」という)は、過誤によって傷害を与えてしまった責任を取る上で欠かせない人間として取るべき当然の行為である。
たとえ、過誤の要因が個人よりもシステムの欠陥にあっても、謝罪が行われるべきである。
有害事象の説明を行い、医療者自らの遺憾の意を伝え和解の姿勢を示すことが、患者の傷害に続く心の痛みや憤りを和らげるために重要である。
3.有害事象の原因が、有害事象直後にすべてわかっているわけではない。
しかし、有害事象後において、患者は、気分を害しやすく傷つきやすい状況にある。
もし明らかな過誤が起こった場合、誰が起こした過誤であっても即座にそれを明らかにし、謝
罪し、過誤の原因究明を行うことを伝えなければならない。
言葉の例:「私たちが過ちを起こしました。申し訳ありません。」
4.個人による過誤は、通常、システム上の欠陥(特定し明らかにしなければならない)に起因するが、ほとんどの患者はシステム上の欠陥であることを知る方法を持ち合わせていない。
患者は個人に責任があるという考えを持ちがちである。
5.過誤を起こした医療者が謝罪し、心からの謝罪を行うことはとても重要である。
しかしながら、過誤を起こした直後の医療者が心理面において、冷静に事態に対応できるかどうかを考えなければならない。
もし、医療者が患者との適切なコミュニケーションが取れない場合は、院内医療メディエーター等を介入させることが望ましい。
6.他のスタッフによる過誤の場合でも、チーム医療であることから担当医もまた謝罪しなければならない。
これらの場合、過誤を起こした医療者と担当医が共同で謝罪に努めることが賢明である。
すなわち、過誤を起こした医療者と担当医が一緒に、謝罪のために患者と会うことである。
多くの医師が信じているような、謝罪を行うことが医療過誤訴訟のリスクを増加させるといった証拠はほとんどない。
医療過誤にかかわる弁護士は、多くの医療過誤訴訟は医療者が責任をとり謝罪をし、率直に意見交換するのを怠ったために提起されていると主張している。
事実、医療過誤裁判での判例が、そのことを示している(参考資料を参照)。
率直に話し合い責任を取り謝罪をすることが極めて重要であり、これらを怠ることが患者の怒りをかうことになる。
7.有害事象の真相を説明し、謝罪することが、被害者やその家族が有害事象により受けた心の傷を癒す第一歩になる。真摯に反省する姿勢が、病院を責める被害者感情を緩和し、両者が同じ方向を向いて再発防止策を語る準備が整うのである。
ステップ4.有害事象防止のために、何が必要かを説明する。
1.調査が完了し、改善策が講じられ次第その改善策を患者や家族に知らせることが重要である。
傷害を受けた患者は、自分に起こったことが他の人に起こらないように配慮されることへの強い関心を持っているが、医療者は患者の抱くこの感情を軽視しがちである。
2.改善がなされて、自分の経験が改善に活かされたと知ることが患者や家族の苦痛や喪失感に対処する手助けとなり、自分の受けた苦しみが無駄ではなかったと知ることは、その経験に前向きな意味を持たせることとなる。